借地の上の家を相続した方や、地代を払い続けている借地の家を手放したい方に向けた記事です。借地権は売れるのか、誰にどう売ればよいのかを、順番に整理します。
僕は2016年から6年間、大手の不動産・建築会社で土地活用の営業をしていました。当時のお客様の中心は地主の方で、借地を返す・地主が買い戻すという話にも、地主の方の側から2〜3件関わっています。
先に結論を書いておきますね。借地権は売れます。主な売り先は、地主に買ってもらう、第三者に売る、底地と一緒に売る、の3つになります。土地を借りる権利が賃借権なら、第三者に売るときは地主の承諾が要る、という決まりです。地主が承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続きもあります。相続した借地なら、地主に話す前に相続人の考えを1つにし、地主に買ってもらう道と第三者に売る道を並べて比べられるようにしておきましょう。
なお、条文はe-Gov法令検索で、借地の手続きは裁判所の案内で、税と評価は国税庁の案内で確かめました。相続登記は法務省、仲介手数料は国土交通省、借地の住宅ローンは住宅金融支援機構の案内です。2026年11月時点の内容としてお読みください。
借地権は売れる。賃借権なら地主の承諾が要る

借地権とは、建物を持つために他人の土地を借りる権利で、売ることができる財産です。ただ、借りている権利が賃借権か地上権かで、売るときに地主の承諾が要るかどうかが変わります。
賃借権か地上権かを、契約書と登記で見分ける
借地借家法は、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定めています(2条1号)。手元の契約書の題名や条項が土地の賃貸借なら賃借権、地上権の設定なら地上権です。土地の登記事項証明書に地上権の登記があるかどうかも、見分ける手がかりになります。
賃借権は、地主の承諾を得なければ人に譲り渡せません(民法612条1項)。承諾なしに第三者に使わせると、地主は契約を解除できる決まりです(同条2項)。借地の上の家を売れば、土地を借りる権利も一緒に移るので、この承諾が要ります。
地上権なら、この612条の承諾の問題は生じません。ただ、契約の中に譲るときの取り決めが書かれていることもあるので、どちらの場合も契約書の条項は読んでおきましょう。
契約の時期と、建物の名義を確かめる
売る前に確かめておくものを、表にまとめました。
| 確かめるもの | どこで見るか | 売るときに効くこと |
|---|---|---|
| 権利の種類 | 契約書・土地の登記事項証明書 | 賃借権なら地主の承諾が要る |
| 契約の始まった日と期間 | 契約書 | 1992年8月1日より前の設定か、定期借地か |
| 建物の名義 | 建物の登記事項証明書 | 亡くなった親のままなら、先に相続登記 |
| 地代と、譲るときや建て替えの取り決め | 契約書・地代の領収書 | 地主と話すときの土台になる |
借地借家法が施行された1992年8月1日より前に設定された借地は、更新などについて、それまでの法律の例による部分が残ります(借地借家法の附則)。契約書が見つからないときは、地代の領収書や振込の記録、土地と建物の登記事項証明書で分かることを集め、地主の方に契約書の写しがないか聞いてみるのが近道です。親の代から続く借地なら、まず設定の時期を見てください。建物が古くなったときの扱いも、設定の時期で変わるからです。1992年8月1日より前に設定された借地では、建物が古くなって住めないほど傷んだ(朽廃した)ときに借地権が消えるかどうかも、それまでの法律の例によるとされています(借地借家法の附則5条)。契約の中身によっては朽廃で借地権が消える場合があるので、古い家を売る前や壊す前に弁護士に確かめてください。
存続期間を50年以上として、契約の更新をしないことなどを書面で定めた借地権は、一般定期借地権と呼ばれます(借地借家法22条)。事業用の定期借地権(23条)や、建物を譲る取り決めの付いた借地権(24条)もあるので、どの型かは契約書で確かめてください。期間が来れば終わる借地なので、残りの期間が短いほど、買う人が使える期間も短くなります。
建物の登記も大切です。借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を持っていれば、第三者に主張できます(借地借家法10条1項)。建物が登記されていないなら、借地権を第三者に主張する土台の一つが欠けることになるので、売る前に司法書士や土地家屋調査士に相談して、登記の状態を確かめることが先です。家の名義が亡くなった親のままなら、売る前に相続登記を済ませましょう。相続登記は、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があり、2024年4月1日より前に知った不動産は2027年3月31日までが期限です(法務省)。相続登記から売るまでの進め方は、相続登記が未了の実家は売却できるかで順に説明しています。
相続で受け継ぐこと自体に、地主の承諾は要らないとされる
相続人は、亡くなった人の財産に属した一切の権利と義務を受け継ぎます(民法896条)。相続は612条の「譲り渡し」とは別の扱いとされるので、相続で借地権を受け継ぐこと自体に、地主の承諾は要らないと考えられています。
ただし、受け継いだ借地権が賃借権なら、売るときにはあらためて地主の承諾が要ります。相続人ではない人に遺言で譲るといった場合も、相続とは別に考える必要があるので、弁護士に確かめてください。
地主に返す・買い戻す話は、地主の側の事情で条件が変わることがある

借地権の売り先として、まず地主の方を思い浮かべる方もいるでしょう。地主の方が買えば、第三者に売るときのような譲渡の承諾を別にもらう必要はありません。ただ、借地を地主に返す・地主が買い戻す話は、地主の方の側の事情で、受け取る条件が変わることがあります。
当時、借地を返す・買い戻す話に、地主の方の側から関わった
僕が土地活用の営業をしていた当時、地主の方の側の相談として、また地主の方に建物を建てる提案をする中で、借地を返す・地主が買い戻すという話に関わりました。件数は2〜3件です。
実際に関わった件の中に、返す・買い戻すところまでまとまらず、話が止まった件がありました。手間がかかったのは、解体費をどちらが持つか、借地を持つ側の相続人の考えがそろわないこと、地主の方の側の事情で受け取る条件が変わったこと、の3つでした。どれも、関わった件の中で出てきたものです。それぞれの中身は、借地権を地主に返す前にそろえる相続人と条件で詳しく書きました。
ここでいう地主の方の側の事情とは、相続税や建物を建てる予定といったことを指します。
相続した借地は、地主に話す前に相続人の考えを1つにする
先に書いた当時の件のように、借地を持つ側の相続人の考えがそろわないことも、話を進める手間になります。
相続人が何人かいるなら、遺産を分けるまで、相続財産は相続人の共有になります(民法898条1項)。
売るつもりなら、地主の方に話す前に、相続人の間で、売るのか、地主に返すのか、持ち続けるのかを決めてください。売ると決めたら、いくらまでなら売ってよいかという値段の下限も、家族で決めておきます。話す人の決め方や、任せる範囲の書面の残し方は、借地権を地主に返す前にそろえる相続人と条件にまとめました。
相続人の間で考えが分かれたまま話し合いが進まない場合、個別の争いに関するご相談は、法律上、弁護士以外がお答えできない決まりがあります。その場合は、弁護士へ相談してください。
地主の返事を待つ間も、第三者に売る道を並べておく
先に書いた当時の件のように、地主の方の側の事情で、受け取る条件が変わることがあります。だから、地主の方に買ってもらう道1本で返事を待たず、承諾を得て第三者に売る道の値段と承諾料の見込みも並べて、比べて決められるようにしておきましょう。
| 比べること | 地主に買ってもらう | 承諾を得て第三者に売る |
|---|---|---|
| 地主の譲渡の承諾 | 別にもらう必要はない | 要る(承諾料は話し合いで決まる) |
| 買う人を探す手間 | 要らない | 要る(借地を扱う会社が買えば短くなるが、一般に値段は低めになりやすいとされる) |
| 値段を決める相手 | 地主の方 | 買う人と、承諾の条件を決める地主の方 |
| 止まりやすいところ | 地主の方の予定や事情 | 地主の承諾、買う人の住宅ローン(担保の設定に地主の承諾を求められることがある) |
地主の方に最初に相談するときは、買い取りを考えられるか、第三者に売ることを認めてもらえるか、底地も一緒に売る考えがあるかを、まとめて聞いておくと進めやすくなります。どれか1つの答えを待つ間に、ほかの道の見込みも集めておけるからです。第三者に売る場合の値段を先にそろえる進め方は、借地権を地主に買い取ってもらうにはでも説明しています。
借地権の売り先と、それぞれの進め方

借地権の主な売り先は、地主の方、承諾を得た第三者、底地と一緒に買う人の3つです。どれを選ぶかで、承諾の要否と、値段を決める相手が変わります。
借地権の売値に公的な相場はなく、割合で示される目安にも公的な裏づけはありません。借地権の値段は、借地権だけで決まるものでもないのです。値段を左右するのは、承諾料を誰が負担するか、地代の額、契約の残りの期間、買う人が住宅ローンを組みやすいかといった条件です。一般に、地主の方から買い取りを持ちかけられたのか、こちらから頼むのかでも、話し合いの立場は変わるといわれます。値段の見込みは、売り先ごとに分けて出してもらいましょう。
地主の方に買ってもらう
地主の方に買ってもらう場合、値段は話し合いで決まります。相続税の評価では、普通の借地権の価額は、更地としての価額に借地権割合を掛けて求めます(国税庁No.4611)。借地権割合は路線価図や評価倍率表に示され、路線価図ではAからGの記号で、Aは90%、Gは30%です(国税庁「路線価図の説明」)。ただ、これは税の評価の物差しで、そのまま売る値段になるわけではありません。
建物を壊して返すのか、残したまま引き取ってもらうのかで、解体費の持ち方も変わる点に注意してください。地主の方に売る取引の組み立ては借地権を地主に買い取ってもらうにはに、返すときの進め方は借地権を地主に返す前にそろえる相続人と条件にまとめています。
承諾を得て第三者に売る
第三者に売るときは、借地を扱う会社に買ってもらうか、仲介で個人の買い手を探すかの2通りです。一般に、会社に買ってもらうと早く進みやすい一方で、値段は個人に売るより低めになりやすいとされます。どちらが合うかを比べておきましょう。どちらの場合も、地主の方の承諾は欠かせません。
買う人が決まる前に地主の方へ事情を伝えて、売ることを認めてもらえそうかを確かめておくと、後で止まりにくくなります。売買の契約は、地主の承諾が得られることを条件にして結び、承諾を書面でもらってから引き渡す流れにしておきましょう。
個人の買い手が住宅ローンを使う場合も考えておきましょう。住宅金融支援機構のフラット35は、敷地が借地でも、要件を満たせば利用できる場合がある住宅ローンです。担保は、原則として敷地に機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定する決まりで、抵当権の設定について地主の承諾を得られない場合でも利用できることがある、と案内されています。名義書換料や承諾料は、借入の対象になりません。民間の住宅ローンの扱いは金融機関ごとに違うので、買う人の借り入れ先にも早めに確かめてもらうと安心です。承諾料を誰がどう払うかは、契約の前に決めておきましょう。
底地と一緒に売る
地主の方にも土地を売る考えがあれば、借地権と底地をそろえて、借地の付いていない土地として売る道もあります。借地の付いていない土地として売れるので、借地権だけでは買わない人も買い手になりえ、値段も高くなる可能性があるのが利点です。ただ、売主が借りている側と地主の方の2人になるので、代金の分け方と、それぞれの役割を先に決めておくことが欠かせません。このほか、地主の方と借地権と底地の一部を交換し、それぞれが借地の付かない土地を持ってから売る方法(等価交換)もあります。交換の手続きや税の特例の条件は、借地権を地主に買い取ってもらうにはで触れました。地主の方の側から見た底地の売り方は、底地売却は誰に売るかで金額が変わるを参考にしてください。
仲介を頼む会社は、もともとどちらとも付き合いの無い会社がよいと考える
地主の方へ売る前に打診するときや、仲介を頼むときの話です。ここからは、実例を見たわけではなく、僕が考えていることをお話しします。地主の方と付き合いやつながりが強い不動産会社だと、地主の方の側に寄ってしまい、借りている側の立場が弱くなることもあるのではないか、というのが僕の見方です。
そのため、地主の方とも借りている側とも接点の無い会社に、間に入ってもらうほうがよい、というのが僕の考えです。どちらかと付き合いがあると、そちらに傾きかねないからです。
地主が承諾しないときは、裁判所の許可を求められる

地主の方が第三者に売ることを認めてくれないときも、それで道が閉じるとは限りません。賃借権の借地なら、裁判所に、地主の承諾に代わる許可を求める手続きがあります。
承諾に代わる許可を、裁判所に申し立てる
借地借家法19条1項は、借地の上の建物を第三者に譲ろうとする場合に、その第三者が賃借権を取っても地主に不利となるおそれがないのに地主が承諾しないとき、裁判所が借地権者の申立てで、承諾に代わる許可を与えることができると定めています。許可は、地主への財産上の給付を条件にすることもできる決まりです。
裁判所は、賃借権の残りの期間、それまでの借地の経過、譲る必要がある事情など、一切の事情を考えて判断します(同条2項)。許可が出るとは限らないので、申し立てれば売れると考えないでください。条文は、譲り渡そうとする第三者が賃借権を取っても地主に不利とならないかを見る形なので、申し立てるのは、買う人が決まってからになります。
東京地方裁判所の案内では、手続きの中で鑑定委員会が、許可の可否や承諾料額、借地権の価格などについて意見を述べる流れです。多くの事件は、特段の事情がなければ、おおむね1年以内に終わっているとされています。地主の方が承諾しないときの出口は、借地権付き建物が売れないのは、どこで止まっているのかでも詳しく書きました。
地主の方と争いになっている場合、個別の争いに関するご相談は、法律上、弁護士以外がお答えできない決まりがあります。裁判所への申立ても含めて、弁護士へ相談してください。
地主の方が、自分で買い取ると申し立てることもある
19条1項の申立てがあったとき、裁判所が定める期間内に、地主の方が自分で建物と賃借権を譲り受けると申し立てることがあります。このとき裁判所は、相当の対価などを定めて、地主の方への譲渡を命じることができます(同条3項)。東京地方裁判所の案内での呼び名は「介入権」です。
第三者に売るつもりで申し立てても、地主の方が買い取る形で終わる場合があるわけです。申し立てる前に、その結果も受け入れられるかを考えておきましょう。
借地権を売る流れと、かかるお金

ここまでの話を、売る順番と、お金の面から整理します。書類の確認と家族の考えをそろえることが先で、地主の方への相談はその後です。
売る流れは、書類の確認から引き渡しまで
借地権を売るときは、次の順番で進めます。
- 契約書と登記で、権利の種類・期間・建物の名義を確かめる(名義が親のままなら相続登記)
- 相続した借地なら、相続人の考えを1つにし、地主の方と話す人を決める
- 借地を扱う会社に、地主に売る場合と第三者に売る場合の値段の見込みを出してもらう
- 地主の方に、買い取り・第三者への売却の承諾・底地も一緒に売る考えを聞く
- 買う人と、地主の承諾が得られることを条件にした売買契約を結ぶ
- 承諾を書面で受け取り、代金と引き換えに建物の名義を移して引き渡す
3と4は、どちらかの答えを待つ間に止めず、並べて進めましょう。地主の方が承諾しないときは、買う人が決まったあと(5の前後)に、裁判所への申立てを考える流れになります。
かかるお金は、承諾料・手数料・印紙・登記・解体費
かかるお金を、表にまとめました。
| お金 | かかる場面 | 確かめること |
|---|---|---|
| 承諾料 | 第三者に売るとき | 法律で決まった額はなく、誰がいくら払うかは地主の方との話し合いと売買契約で決まる |
| 仲介手数料 | 仲介で買い手を探すとき | 上限は告示で決まっている(800万円以下は原則より高く受け取れる特例あり)。会社や地主に直接売るならかからない |
| 印紙税 | 売買契約書を作るとき | 契約書に貼る印紙の税。売主が負担した分は譲渡費用になる(国税庁No.3255) |
| 登記の費用 | 相続登記をするとき(売るときの名義の移転は別) | 相続登記には登録免許税がかかる(相続による名義の移転は不動産の価額の1,000分の4)。司法書士に頼むなら報酬も。売るときの名義の移転の費用は、誰が持つかを売買契約で決める |
| 解体費 | 建物を壊して返すとき | 誰が持つかは契約と話し合いで決まる |
仲介手数料の上限は、法律に基づく告示で決まっています。国土交通省の計算例では、物件価格が1,000万円(税別)のとき、売主から受け取れる仲介手数料は、税込みで39.6万円が上限です。物件価格が800万円以下の宅地や建物(低廉な空家等)は、原則の上限を超えて、税込み33万円(30万円×1.1)まで受け取れる特例があります(同じ案内)。この特例の額も、頼む前に合意しておくことが大切とされています。仲介を頼む前に、上限の範囲で手数料の額を決めておきましょう。
売って利益が出たら、譲渡所得の申告を確かめる
借地権も、譲渡所得の対象になる資産です(国税庁No.3105)。売った金額から取得費と譲渡費用を引いて利益が出れば、税金がかかります。譲渡費用には、仲介手数料や、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などが入ります(国税庁No.3202)。借地権を売るときに地主の承諾をもらうために払った名義書換料なども、譲渡費用になります(国税庁No.3255)。
税率は、売った年の1月1日に、持っていた期間が5年を超えるかどうかで変わります。相続で受け継いだものは、原則として、亡くなった人が取得した日から数えます(国税庁No.3202)。5年を超える長期譲渡所得なら、税率は所得税15%・住民税5%です(国税庁No.3208)。所得税には、売った年の分に応じて、次の税も加わります。
- 2026年分まで:復興特別所得税(所得税の額の2.1%)
- 2027年分から:復興特別所得税(所得税の額の1.1%)と防衛特別所得税(所得税の額の1%)
2027年分からの扱いは、2026年3月31日に成立・公布された「所得税法等の一部を改正する法律」によるものです(財務省)。国税庁No.3208は、2026年4月1日現在の法令等として、復興特別所得税を2.1%と書いています。
税額は事情で変わるので、ここでは計算しません。申告の前に税理士か税務署に確かめてください。
親が一人で住んでいた借地の家を相続して売るなら、空き家の3,000万円控除も確かめる価値があります。特例の対象になる敷地等には、土地の上に存する権利も含まれるからです。家が1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたもので、2027年(令和9年)12月31日までに売ることなどが条件です(国税庁No.3306)。なお、2024年1月1日以後に売る場合で、家と敷地等を受け継いだ相続人が3人以上なら、控除の上限は2,000万円になります。ほかの要件は、空き家の3,000万円控除を見てください。
まとめ

借地権を売るときの進め方をまとめます。
- 借地権は売れる。賃借権なら地主の承諾が要り、地上権なら612条の承諾の問題は生じない
- 契約書と登記で、権利の種類・契約の時期・建物の名義を確かめる
- 相続で受け継ぐこと自体に地主の承諾は要らないとされるが、賃借権なら売るときには要る
- 相続した借地は、地主に話す前に相続人の考えを1つにし、話す人を決める
- 地主に買ってもらう道1本で待たず、第三者に売る道の見込みも並べて比べる
- 地主が承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続きがある。地主の方が自分で買い取る結果になることもある
- 承諾料・仲介手数料・登記・解体費と、譲渡所得の申告を確かめる
今日できるのは、借地の契約書と建物の登記事項証明書を手元にそろえることです。家族で相続した借地なら、売るか、返すか、持ち続けるかを話し合うところから始めてください。
よくある質問

質問1|地主に知らせずに、借地権を売れますか?
賃借権の借地なら、地主の承諾(または裁判所の承諾に代わる許可)なしに譲ることはできません。承諾を得ずに譲って第三者に使わせると、地主は契約を解除できる決まりです(民法612条2項)。承諾が得られないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続きを考えましょう。
質問2|借地権を売るときの承諾料は、どう決まりますか?
法律で決まった額はなく、地主の方との話し合いで決まります。公的な基準額は無く、目安として言われる数字にも公的な裏づけはありません。裁判所の許可を求める場合は、地主への財産上の給付を条件に許可が出ることがあります(借地借家法19条1項)。東京地方裁判所の案内では、承諾料額について鑑定委員会が意見を述べる流れです。
質問3|古くて住めない借地の家でも、売れますか?
建物が古いことだけで、売れなくなるわけではありません。借地を扱う会社や地主の方が、建物ごと引き取る形もあります。ただし、1992年8月1日より前に設定された借地では、建物の朽廃で借地権が消えるかどうかは、それまでの法律の例によるとされています(借地借家法の附則5条)。契約の中身によっては朽廃で借地権が消える場合もあるので、確かめが要ります。住めないほど傷んでいるなら、売る前に弁護士に確かめてください。また、建物を壊すのは、地主の方との話がまとまってからにしましょう。借地権を第三者に主張する土台の一つが、土地の上の登記された建物だからです(借地借家法10条1項)。
出典
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
出典:国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」








地主の方の側の事情で受け取る条件が変わっても慌てないように、第三者に売る場合の値段の見込みを、手元に用意しておいてくださいね。