いらない土地がタダでも残るときの手放し方

いらない土地がタダでも残るときの手放し方

いらない土地を、タダでもいいから手放したいと考えている方に向けた記事です。引き取り手を探しても見つからず、次に何をすればよいのか迷っている場面を思い浮かべて書いています。

僕は2016年から6年間、大手の不動産・建築会社で土地活用の営業をしていました。当時、売却・処分や相続の相談の中で、タダでも手放したいと言われた土地に関わったことがあります。

いらない土地を調べると、上位は、売る・寄付する・国に引き取ってもらう・相続放棄といった手放し方の一覧と、それぞれの費用が中心です。この記事では、その一覧は短くしました。重心を置いたのは、タダでも引き取り手が見つからないときに、引き取り手探しと国の手続きをどうつなげるかのほうです。

先に結論を書いておきますね。いらない土地は、タダでも引き取り手が見つからないことがあります。相続で取得した土地なら、国庫帰属の申請で、自治体などへの情報提供に同意しておきましょう。申請の後に、法務局が寄附受けの可能性を確かめます。却下・不承認になった理由は、地上の物・書類・森林の整備・境界・通路が多いので、そこから先に確かめると安心です。

この記事で扱うのは、タダでも引き取り手が見つからない土地・申請の後に引き取り手が出る道・却下や不承認になった理由の3つです。

なお、条文はe-Gov法令検索で、統計と申請の扱いは法務省の案内で確かめました。2026年10月時点の内容としてお読みください。

いらない土地は、タダでも引き取り手が見つからないことがある

いらない土地は、タダでも引き取り手が見つからないことがある

タダで譲ると決めても、受け取る相手が見つからなければ、土地は手元に残ります。引き取り手探しだけに頼らず、国の手続きと並べて進める前提で考えましょう。

当時関わった件の中に、引き取り手が無いまま止まったことがあった

僕が土地活用の営業をしていた当時に、売却・処分や相続の相談の中で、タダでも手放したいと言われた土地に担当として関わったのは、2〜3件です。当時関わった件の中に、引き取り手が無いまま話が止まったことがありました。

この経験から、この記事では、タダなら誰かがもらってくれる、という前提を置いていません。一般に、引き取ってもらえる先を1つずつ当たり、全部に断られてから次を考えるやり方だと、その間も土地の管理と固定資産税は続きます。そこで、引き取ってもらえる先と条件を、先に並べておく順番で書きました。

引き取り手を探す先と、国の手続きを並べておく

法務省はQ&Aで、国庫帰属のほかに土地を手放す方法として、相続放棄・自治体などへの寄附・民間の売買や贈与・農地なら農地中間管理機構・森林なら森林経営管理制度を挙げています。それぞれの手放し方と動くお金は、田舎の土地がいらない時の手放し方|相続の前・とき・後で変わるにまとめました。

この中で、国に土地を引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度を使えるのは、相続か、相続人への遺贈で土地を取得した人です(相続土地国庫帰属法1条・2条1項)。共有の土地なら、共有者の全員がそろって申請します(2条2項)。名義や建物の状態から確かめたいときは、土地を手放したい時の最初の一手|名義・共有・建物で変わるが入口になります。

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高槻 翔太

当時関わった件の中に、引き取り手が無いまま止まった件がありました。引き取ってもらえる先と条件を、先に並べておきましょう。

いらない土地は、国庫帰属の申請の後に引き取り手が見つかることもある

いらない土地は、国庫帰属の申請の後に引き取り手が見つかることもある

相続で取得したいらない土地なら、国庫帰属の承認申請書で、国や自治体などへの情報提供に同意できるのがポイントです。同意しておくと、申請の後に、法務局が自治体などに寄附受けの可能性を確かめます。

申請書の同意欄にチェックを入れると、自治体などに土地の情報が伝わる

法務省のQ&Aによると、承認申請書にあるチェックボックスは、土地の利活用(寄附受けなど)の機会を確保するためのものです。チェックを入れると、申請された土地の地番や、添付書類の境界に関する情報が、国や自治体などの機関に伝わります。

同意しない場合は、寄附受けの希望を確かめるための情報提供はされず、法務局は申請の審査を進めるだけになります。また、法務局への相談の段階では、自治体などへの寄附受けの確認はしてもらえません。寄附受けの可能性を法務局に確かめてもらえるのは、申請をして、同意欄にチェックを入れた後です。

取下げの約半分は、有効活用の見込みが出たもの

法務省の統計(令和8年9月30日現在の速報値)では、申請6,125件のうち、国庫に帰属したのは3,231件です。申請の取下げは1,162件ありました。

取下げの内訳は、有効活用の見込みが生じたものが595件、却下・不承認だと分かったものが415件、その他が152件です。有効活用の見込みの例として、自治体や国の機関による有効活用の決定、隣の土地の所有者からの引き受けの申出、農業委員会の調整などで農地として使われる見込みが挙がっています。

統計からは、同意欄のチェックがどの件に関わったかまでは分かりません。それでも、有効活用の見込みが出て取り下げた件は、取下げの約半分(1,162件のうち595件)です。引き取り手が出たら、申請を取り下げてから土地を譲りましょう。取下げをしないまま売ると、申請は却下されます(法務省Q&A)。

申請してから決まるまで、土地の管理は自分で続ける

申請の審査には、標準で8か月かかり、それを超えることもあると、法務省のQ&Aは案内しています。国庫への帰属が承認されて負担金を納めるまでは、土地は申請した人のものです(相続土地国庫帰属法11条1項)。草刈りなどの管理は、その間も申請した人が続けます。

審査手数料は、土地の一筆ごとに1万4,000円で(施行令3条)、取り下げても、却下や不承認になっても返りません。承認されたときは、10年分の標準的な管理費用をもとにした負担金を、通知から30日以内に納めます(法10条1項・3項)。持ち続ける間の固定資産税に困っているときは、固定資産税が払えないときは、期限の前と後で打つ手が変わるも参考にしてください。

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いらない土地の国庫帰属は、却下・不承認の理由から確かめる

いらない土地の国庫帰属は、却下・不承認の理由から確かめる

国庫帰属の申請で、却下は86件、不承認は103件ありました(令和8年9月30日現在)。却下で多いのは添付書類(37件)・境界(23件)・通路(22件)、不承認で多いのは地上の物(49件)と森林の追加の整備(37件)です。

統計の件数から、申請の前に見る所を決める

法務省の統計にある却下と不承認の理由を、件数の多い順に、申請の前に見ることと並べました。1つの申請で、理由が2つ以上数えられている場合もあります。

申請の前に見ること統計の件数(令和8年9月30日現在)決まり
管理や処分の邪魔になる物(工作物・車両・樹木など)が地上に無いか不承認49件法5条1項2号
決められた添付書類がそろっているか却下37件法3条1項・4条1項2号
森林なら、国が追加で整備する必要が無いか不承認37件施行令4条3項3号
隣との境界が分かるか却下23件法2条3項5号
今、通路として使われていないか却下22件施行令2条1号
土地改良の賦課金など、帰属の後に国が負担するお金が無いか不承認12件施行令4条3項4号
申請する人が、相続などで取得した本人(共有なら全員)か却下11件法2条1項・2項、4条1項1号
災害の危険を防ぐ措置が必要な土地ではないか不承認11件施行令4条3項1号

この表の上から順に、自分の土地に当てはまらないかを見ておきましょう。ほかに、使うことを妨げられている土地(8件)・崖(7件)・建物がある(4件)・通行が妨げられている(4件)・地下の物(3件)・水道用地など(1件)の理由もあります。

不承認でいちばん多いのは、地上の物

不承認103件のうち49件は、土地の通常の管理や処分を邪魔する工作物・車両・樹木などが地上にある、という理由でした(法5条1項2号)。地上に物があるだけで不承認になるのではなく、通常の管理や処分の邪魔になるかで判断されます。

放置された車や物置、使っていない小屋の跡などが残っていないかを、申請の前に現地で見ておきましょう。建物がある土地は、そもそも申請ができません(法2条3項1号)。

申請の準備と引き取り手探しは、同じ時期に進める

却下で多いのは、添付書類の不提出・境界・通路です。境界の情報は、申請の添付書類になり、情報提供に同意すれば自治体などに伝わる情報でもあります(法務省Q&A)。隣の所有者と境界を確かめておくと、申請の準備と引き取り手探しの両方に使えます。

隣り合う何筆もの土地をまとめて手放したいときは、法務省のQ&Aによると、一筆を先に申請することもできます。審査手数料は返らないため、先に一筆で様子を見るのも1つの手です。買取の会社に当たるときの見分け方は、売れない土地の買取業者はどう探すかで解説しました。

申請の準備をしながら、買い手や引き取り手を探すときも、土地の値段の見当があると話を進めやすくなります。無料査定で値段の見当をお出しし、家が残っている土地の見回りは0円空き家管理で受け付けているので、値段と見回りのご相談はお問い合わせからご連絡ください。

まとめ

まとめ

いらない土地がタダでも残るときの手放し方を振り返りましょう。

  • タダでも引き取り手が見つからない土地はある。引き取り手探しだけに頼らず、引き取ってもらえる先と国の手続きを並べて進める
  • 相続で取得した土地なら、国庫帰属の申請書で、自治体などへの情報提供に同意しておく。申請の後に、法務局が寄附受けの可能性を確かめる。取下げの約半分(令和8年9月30日現在)は、有効活用の見込みが出たもの
  • 却下・不承認になった理由は、地上の物・添付書類・森林の整備・境界・通路が多い。申請の前に、件数の多い順に自分の土地を確かめる

引き取り手探しと申請の準備を同じ時期に進めれば、タダでも残る土地にも、手放す道を残しておけるはずです。

よくある質問

よくある質問

質問1|自分で買った土地も、国に引き取ってもらえますか?

相続土地国庫帰属制度を使えるのは、相続か、相続人への遺贈で土地を取得した人です(相続土地国庫帰属法1条・2条1項)。自分で買った土地だけを持っている場合は、この制度は使えません。ただし、共有の土地で、共有者のだれかが相続などで持分を取得していれば、買って持分を取得した共有者も、全員そろって申請できます(2条2項)。

質問2|申請を取り下げたら、審査手数料は戻りますか?

審査手数料は、取り下げても、却下や不承認になっても返りません(法務省Q&A)。金額は、土地の一筆ごとに1万4,000円です(施行令3条)。引き取り手が出そうなときも、申請するかどうかは、手数料が返らない前提で決めましょう。

質問3|情報提供に同意すれば、自治体が必ず引き取ってくれますか?

情報提供への同意は、土地の利活用(寄附受けなど)の機会を確保するためのもので、申請の後に法務局が寄附受けの可能性を確かめるところまでです(法務省Q&A)。自治体などが引き取るかは、その確認の結果で決まります。寄附受けの話が出なければ、そのまま申請の審査が進む形です。統計で取下げの理由になった有効活用の見込みには、自治体のほか、隣の土地の所有者からの引き受けの申出も含まれています。

出典

出典:e-Gov法令検索「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」

出典:e-Gov法令検索「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」

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高槻 翔太
元・土地活用コンサルタント。宅地建物取引士(試験合格) ・FP2級保有 。 2016年より、大手不動産・建築会社で、土地有効活用のコンサルティング営業を6年間しており、地主様の資産運用・相続税対策を支援 。 現在は不動産特化の専門家として、SUUMOや朝日新聞社「相続会議」など大手メディアを中心に累計1,500記事以上を執筆・監修 。 現場で見てきた「放置空き家の悲劇」や「兄弟間の相続トラブル」を防ぐため、綺麗事抜きで「1円でも多くお金を残し、ご縁を守る」ための本音のノウハウを発信中。 >> 詳しいプロフィールと当サイトの理念はこちら