底地買取の価格はどう決まる?業者に売る前後の手続き

底地買取の価格はどう決まる?業者に売る前後の手続き

借地人に貸している土地、いわゆる底地を、買取業者に売ろうと考えている地主の方。あるいは、相続でそうした土地を引き継いだ方に向けた記事です。

僕は2016年から6年間、大手の不動産・建築会社に勤め、土地を持つ方の資産運用や相続税対策の相談を受ける営業をしていました。底地の売買そのものを担当したことはありません。この記事は、民法と借地借家法の条文を土台に、地主の方の近くで見てきたことを添えて整理したものです。

先に結論を書いておきますね。底地買取の価格は、業者がその後に借地人と進める話し合いの見込みから、逆算して決まります。業者が買っているのは、地代を受け取る立場と、借地人と権利をまとめ直す機会なんです。

だから、借地人に直接売るより金額は下がりやすくなります。そのかわり、交渉にかかる時間や、借地人が応じない場合の不確かさを、業者が引き受ける形になるわけですね。

この記事では、業者が買っているもの、ほかの売り方と比べて安くなる理由、査定額を動かす要素、業者に売るほうが合う場面を見たうえで、渡す資料と、売った後の手続き、契約で決めることの順に進みます。

法令と制度は、e-Gov法令検索と国税庁で確かめたものだけを載せました。2026年9月時点の内容としてお読みください。

底地買取で業者が買っているもの|価格の土台になる3つの出口

底地買取で業者が買っているもの|価格の土台になる3つの出口

業者の査定を読むには、業者が底地を買ったあと何をするのかを先に知っておくと早いです。業者は、買った底地をどの出口で動かすかを見込んでから、買う金額を決めています。

出口1|借地人に底地を売る

業者が買った底地を、今度は借地人に売る出口です。借地人から見ると、底地を手に入れれば土地と建物の両方が自分のものになり、建て替えも売却も地主の顔色をうかがわずに進められます。

借地人が買う気になったときに、いちばん大きな値が付く出口がここなので、業者の見込みの中心に置かれやすいんですね。ただし、借地人がいつ買う気になるかは業者にも読めません。

出口2|借地権を買い取って、1つの土地にまとめて売る

逆に、業者が借地人から借地権を買い取る出口もあるんです。底地と借地権が同じ持ち主にそろえば、借地の付いていない普通の土地として、一般の買主に売れるようになる、という流れですね。

借地人が高齢で建物を使わなくなった、相続した子が遠くに住んでいる。こうした借地人側の事情が、この出口が開くきっかけになります。建物の解体や、借地人への支払いの資金も業者が用意します。

出口3|地代を受け取りながら持ち続ける

出口1と出口2が開くまでは、業者が新しい地主として地代を受け取り続ける形です。業者によっては、底地を地代の入る資産のまま、ほかの買主に売ることもありますね。

地代の手取りは、ほかの出口が開くまでの「待ち時間の収入」として査定に入ります。地代が低いと、この待ち時間は業者にとって持ち出しになりやすく、そのぶん査定は下がる方向に働きます。

実務をしていた当時、僕の相手は土地を持つ地主の方々で、話の中心は相続税対策や土地の使い道でした。貸している土地は、地主の方にとって自分では動かしにくい資産として後回しになりやすい、というのが僕の見方です。業者の査定を見る前に、自分の底地がどの出口に近いかを考えておくと、提示額の意味が読みやすくなります。借地人の年齢や建物の古さは、地主の側がいちばんよく知っている情報ですからね。

底地買取が安くなるのはなぜか|3つの売り方と比べる

底地買取が安くなるのはなぜか|3つの売り方と比べる

同じ底地でも、誰にどう売るかで手元に残る額は変わります。ここでは、業者に売る場合を、ほかの3つの売り方と並べて、差がどこから生まれるのかを見ていきましょう。

売り方交渉するのは誰か地主の手元に残るもの時間
借地人に売る地主自身代金借地人の資金と気持ちしだい
借地権と同時に売る地主と借地人代金(配分は話し合い)両方の足並みがそろうまで
等価交換で分ける地主と借地人分けた土地の完全な所有権測量と分筆を含めて長い
買取業者に売る業者が引き継ぐ代金業者と合意すれば短い

比較1|借地人に直接売る場合

借地人に売ると、底地と借地権が1人にそろって、普通の土地の価値が生まれます。その価値の一部を、地主は代金として受け取れる立場にあるわけです。

業者に売る場合は、この「そろったときの価値」を受け取るのは業者の側になります。業者は借地人との話し合いを自分で進め、その手間と時間と利益を差し引いた額で買うことになるので、地主の受け取る額は下がりやすいんです。借地人の側から見た同じ取引は借地権を地主に買い取ってもらうにはにまとめています。

比較2|借地権と同時に第三者へ売る場合

借地人と足並みをそろえ、底地と借地権を同じ買主に売る方法が、2つ目の比較相手です。買主から見ると普通の土地を買う取引になるので、合計額は業者買取より伸びやすくなります。

その代わり、借地人に売る意思があること、合計額の分け方で折り合えることが前提になります。業者買取では、この足並みをそろえる手間を地主が負わずに済むぶん、金額で差が出るわけですね。

比較3|等価交換で土地を分ける場合

1つの土地を2つに分け、地主と借地人がそれぞれ完全な所有権を持つ形に組み替える方法です。国税庁は、底地の一部と借地権の一部の交換も土地と土地との交換になり、要件を満たせば交換の特例を受けられると案内しています。

地主の手元に残るのは代金ではなく、分けたあとの土地そのものです。分けた土地に建物が建てられる広さと形があるかで、選べるかどうかが決まります。特例の要件は底地売却は誰に売るかで金額が変わるで整理しました。

出典:国税庁「No.3505 借地権と底地を交換したとき」

買取業者は、仕入れた物件を後で動かして利益を出す商売なので、最初から安く買うことを前提に動く会社です。僕は、比べる材料を持たずに査定を受けると、出てきた数字をそのまま受け入れるしかなくなると考えています。業者に売ると決める前に、借地人に売った場合の見当だけでも持っておいてください。差の大きさが分かれば、その差を「交渉を任せる費用」として払う価値があるかを、自分で判断できるようになります。

底地買取の査定額を動かす5つの要素

底地買取の査定額を動かす5つの要素

底地買取の相場を「更地価格の何割」と一言で示せる公的な数字はありません。金額は業者の査定で決まり、その査定は次の5つの要素で上下します。

要素査定が上がる方向査定が下がる方向
借地人の人数1人で話が通りやすい人数が多く、連絡の取れない人がいる
地代と入金地代が適正で滞納がない地代が低い・滞納がある
契約書と種類契約書があり種類が分かる契約書がない・時期が不明
建物の古さ建て替えの時期が近い当分動きがない
地域の慣行借地権割合が低い地域借地権割合が高い地域

要素1|借地人の人数と、連絡が取れるかどうか

1つの土地に、複数の借地人がそれぞれ家を建てている底地もあるんですね。業者は、借地人1人ひとりと別々に話を進めるので、人数が多いほど手間と時間が見込まれ、そのぶん査定に反映されます。

連絡先が分からない借地人がいると、出口の見込みが立たない区画が生まれます。地主の手元にある住所や電話番号の記録が、ここで効いてきますよ。

要素2|地代の水準と、入金の記録

1章の出口3で見たとおり、地代は業者にとって待ち時間の収入です。地代が固定資産税に対して低いまま据え置かれていると、待つほど業者の負担になるので、査定は下がる方向に動きます。

滞納がある場合も同じです。引き渡しの前に滞納分をどう扱うかは、8章で整理しますね。

要素3|契約書の有無と、借地権の種類

契約書があれば、地代・期間・特約が確かめられます。借地借家法の施行日である平成4年8月1日より前に設定された借地権の更新は、なお従前の例による、と附則6条が定めているので、契約の日付が分からないと適用される法律すら決まりません。

存続期間を50年以上とする一般定期借地権なら、契約の更新や建物買取請求をしない旨を定められます(借地借家法22条)。土地が戻ってくる時期を読みやすい契約として、見られ方が変わってきますよ。

要素4|建物の古さと、建て替えの時期

借地人が建物を建て替えるとき、増改築を制限する借地条件があれば地主の承諾が要ります。協議が調わない場合は、裁判所が承諾に代わる許可を与え、財産上の給付を命じることもできる仕組みです(借地借家法17条2項・3項)。

建て替えの時期が近い借地は、業者にとって借地人と話を始めるきっかけが近い土地になります。建物の築年数を地主が把握しておくと、査定の説明を受けたときに中身を確かめやすくなりますね。

要素5|借地権割合が示す、地域の取引慣行

国税庁は、底地の相続税評価を「自用地としての価額−自用地としての価額×借地権割合」で求めると定めています。借地権割合を示すのは路線価図の記号で、Aの90%からGの30%までの7段階です。

割合が高い地域ほど、その土地の中で借地人の権利が重く見られていることになります。査定額の答えそのものではありませんが、地域の中で底地がどれくらいの重さで扱われているかをつかむ手がかりになるんです。

出典:国税庁「No.4613 貸宅地の評価」/国税庁「路線価図の説明」

底地買取を選ぶほうが合う4つの場面

底地買取を選ぶほうが合う4つの場面

ここまでの比較だけを見ると、業者に売るのは損な選択に見えるかもしれません。ただ、ほかの売り方が使えない、または待てない場面では、底地買取が現実的な出口になります。

場面1|1つの底地に借地人が何人もいる

借地人が複数いると、全員に売る話を持ちかけても、買う人と買わない人に分かれがちです。一部の区画だけ話がまとまっても、残りは底地のまま手元に残ってしまいます。

業者は、こうした底地をまとめて引き取ることを前提に動く会社です。借地人ごとの交渉を地主が抱えずに済む点が、業者買取を選ぶ理由になります。

場面2|借地人との話し合いが止まっている

地代の見直しや建て替えの承諾をめぐって、借地人との会話が途切れていることもあります。この状態で地主が直接「買いませんか」と持ちかけても、話は進みにくいものです。

話が止まっている底地ほど、交渉を業者に引き継ぐ意味が大きくなります。争いにまで発展している場合、個別の争いに関するご相談は、法律上、弁護士以外がお答えできない決まりがあります。そこから先は弁護士に確かめてください。

場面3|相続で底地が共有になる、または共有になった

相続人が複数いて底地を共有すると、共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が要ります(民法251条)。土地全体を売るには、共有者の足並みをそろえる必要が出てくるわけです。

借地人との交渉と共有者どうしの調整が重なると、底地はさらに動かしにくくなります。現金に換えて分けたいなら、共有者全員で早めに売り方を決めてください。共有の進め方は共有名義の土地売却は何から始めるかにまとめてあります。

場面4|相続税の申告期限までに、現金が必要になる

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条)。借地人への売却や同時売却は、10か月の中で話がまとまる保証がありません。

期限までに納税の資金をそろえる必要があるなら、業者と合意すれば時期を読める買取が候補に上がります。相続税の個別の計算は税理士にご確認ください。

出典:e-Gov法令検索「民法」/e-Gov法令検索「相続税法」

どの場面に当たるかで、業者に売るか、借地人との話を先に試すかが決まってきますね。うちでは、底地の状況をうかがったうえで、無料査定と、ほかの売り方と比べたときの見通しをお伝えしています。お問い合わせからどうぞ。

地元で長く営業している不動産会社は、地主とも借地人とも顔見知りであることが少なくありません。実例を見たわけではなく構造から考えていることですが、底地の売り先を探す場面でも、どちらかとの関係に引っぱられた動きになりかねないと僕は考えています。借地人と話がこじれている底地ほど、どちらとも付き合いのない会社に査定を頼むほうが、数字を素直に比べられるはずです。

底地買取の前に相続税評価額と比べておく

底地買取の前に相続税評価額と比べておく

生前に底地を業者に売るかどうかで迷っているなら、先に1つだけ比べておきたい数字があります。それが、底地の相続税評価額と、業者の提示額です。

底地を持ったまま相続が起きると、相続財産に入るのは底地の評価額になります。国税庁の定める算式は、自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合を掛けた額を差し引くものです。生前に業者へ売ると、相続財産に入るのは底地ではなく、売った代金から税金などを払った残りの現金に置き換わります。

業者の提示額が評価額を下回るなら、売ったあとのほうが相続財産の額は小さくなります。上回るなら、逆に大きくなる方向です。どちらになるかは土地ごとに違うので、評価額を税理士に出してもらい、提示額と並べてから決めてください。

相続した後に売る場合は、事情が違ってくるんです。相続税法22条は、相続で取得した財産の価額を取得の時の時価で見ると定めているので、相続のあとで安く売っても、相続税の計算に使う額は相続のときの評価のまま動きません。

評価額と提示額を並べるところから一緒に整理したい方は、お問い合わせからご相談ください。底地の無料査定の結果は、税理士に評価額を出してもらう際の比較材料としても使えます。

出典:e-Gov法令検索「相続税法」

底地買取業者に渡す4つの資料

底地買取業者に渡す4つの資料

査定の精度は、渡した資料で決まります。3章の5つの要素のうち、どれを埋める資料なのかを意識してそろえると、業者ごとの提示額を同じ前提で比べられますよ。

資料埋まる要素手に入れる場所
借地人ごとの一覧表人数・連絡先・建物の古さ地主が作る
借地契約書と更新の記録契約書と種類手元・親族
地代の入金記録地代の水準と滞納通帳・帳簿
更新料・承諾料・敷金の受領記録引き継ぐお金の有無領収書の控え・帳簿

資料1|借地人ごとの一覧表

借地人の氏名、区画、地代の額、支払い方法、建物のおおよその築年数を1枚の表にまとめます。業者はこの表を見て、出口がどの区画から開きそうかを読むことになります。

表を作るのは地主にしかできない仕事です。登記事項証明書で建物の名義を確かめ、借地人と名義が違っていれば、その旨も書き添えておきましょう。

資料2|借地契約書と、更新の記録

契約書の日付で、旧借地法の例によるのか借地借家法なのかが分かれます。更新のたびに作り直した書面や覚書があれば、それも一緒に渡してください。

契約書が見つからない区画は、「見つからない」と正直に書いておくほうが話は早く進みます。地代の振込が始まった時期など、契約の時期をたどれる記録を添えるだけでも、業者の読み方は変わります。

資料3|地代の入金記録

通帳や帳簿から、直近数年分の地代の入金を借地人ごとに書き出します。滞納がある区画と、ない区画を分けて示すことが大事です。

地代をいつから今の額にしているかも書き添えてください。長く据え置かれているかどうかは、業者が待ち時間の収入を見積もるときの材料になります。

資料4|更新料・承諾料・敷金を受け取った記録

過去に更新料や建て替えの承諾料を受け取っていれば、その記録を渡します。特に敷金や保証金を預かっている場合は、売った後に誰が返すのかという話に直結するので欠かせません。

8章で見るとおり、預かったお金の返還義務は買主に引き継がれます。金額が分からないまま契約すると、後から精算でもめる原因になりますよ。

実務をしていた当時、グループの売買部門と一緒に動いていて、同じ会社の中でも担当者によって案件への向き合い方がまるで違うのを見てきました。業者を選ぶときも、会社名より担当者の説明を見るほうが確かだと考えています。同じ資料を2社以上に渡し、どの要素をどう見て金額を出したのかを聞き比べてください。買取業者の見極め方は訳あり物件買取業者の選び方にまとめています。

底地買取が決まった後の3つの手続き

底地買取が決まった後の3つの手続き

業者と価格で合意したら、今度は借地人との関係を業者へ引き継ぐ段階です。ここを丁寧に進めないと、地代の払い先をめぐって借地人を戸惑わせることになります。

手続き1|所有権移転登記で、地主の立場が業者に移る

借地人が借地上に登記された建物を持っていれば、借地権には対抗力があります(借地借家法10条1項)。この場合に底地が売られると、民法605条の2第1項により、賃貸人の地位は買主である業者に移ります。

また民法605条の3は、賃貸人の地位は借地人の承諾がなくても、売主と買主の合意で移せると定めています。ただし、業者がその地位を借地人に主張するには、所有権移転の登記が必要です(同605条の2第3項)。借地権が地上権の場合は賃貸借とは扱いが違うので、契約書で種類を確かめておいてください。

手続き2|借地人に知らせ、地代の振込先を変える

法律上は借地人の承諾が要らなくても、知らせないままでは借地人は前の地主に地代を払い続けてしまいます。売主と業者の連名で、地主が替わったことと新しい振込先を伝える書面を出すと、借地人が迷わずに済むはずです。

書面が届くまでに旧地主の口座へ入った地代を、どう業者に渡すかも決めておきましょう。借地人にとって、地主が替わることは暮らしに関わる出来事です。長く付き合ってきた相手への礼儀として、ひと言添えておくと受け止め方が変わりますよ。

手続き3|固定資産税と地代を、引き渡しの日で精算する

固定資産税は、1月1日時点で登記簿に所有者として登記されている人に、その年度分が課される決まりです(地方税法343条・359条)。年の途中で売っても、その年度の納税通知は元の地主に届きます。

そこで、引き渡しの日を境に、固定資産税と地代をそれぞれ日割りで分ける精算を契約で決めておきます。地代を半年分や1年分まとめて前払いで受け取っている場合は、引き渡し後の分を業者に渡す形になります。

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」/e-Gov法令検索「地方税法」

底地買取の契約書で決めておく3つのこと

底地買取の契約書で決めておく3つのこと

業者が買主になる取引は媒介ではないので、宅地建物取引業法46条の報酬、つまり仲介手数料の規定は関わりません。契約不適合責任を負わない特約の読み方など、買取全般に共通する点は訳あり物件買取はいくらで決まるのかに譲り、ここでは底地に特有の3つに絞ります。

決めること法律の定め契約に書くこと
敷金・保証金返還義務は買主が承継(民法605条の2第4項)代金から差し引くか別に精算するか
滞納地代債権は譲り渡せる(民法466条)売主が回収するか業者に譲るか
話の途中の承諾・更新定めなし(当事者の合意)何をどこまで約束したか

決めること1|敷金・保証金の返還義務を、代金でどう精算するか

民法622条の2は、名目を問わず、地代などの債務を担保する目的で借地人から受け取ったお金を敷金と定義しています。そして底地が売られて賃貸人の地位が移ると、敷金を返す義務は買主である業者が引き継ぎます(民法605条の2第4項)。

業者は将来、預かり金を借地人に返す立場になるので、その分を代金から差し引くのか、別に精算するのかを契約書に書いておきます。資料4の記録が、ここで金額の根拠になるわけです。

決めること2|滞納地代を、誰が回収するか

引き渡しの日より前に生じた地代は、もともと売主である地主が受け取るはずだったものです。債権は譲り渡すことができる、と民法466条が定めています。

滞納分を自分で回収するのか、業者に債権を譲って代金に反映させるのかを、契約の時点で決めてください。決めないまま引き渡すと、借地人に2か所から請求が届くような混乱が起きかねません。

決めること3|話の途中の更新や建て替えの承諾を、どう引き継ぐか

借地人から建て替えの承諾を求められていた、更新の話が進んでいた。こうした話の途中で底地を売る場合、地主が何をどこまで約束していたかは、借地人と地主の記憶の中にしかないことがあります。

口頭で伝えた承諾や条件は、書面にしたうえで業者に引き継いでください。承諾料や更新料を誰が受け取るのかも、引き渡しの日を基準に決めておくと、後から借地人との間でも話が食い違いません。

出典:e-Gov法令検索「民法」/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

不動産を手放すときは、動く前に仕組みを知っているかどうかで、手元に残る額が変わるものです。制度を知らないまま進めて損をしているケースは、底地でも多いのではないかと考えています。敷金を預かっていることを忘れたまま底地を売ると、返還義務の分だけ後から代金を削られる形になりかねません。預かり金の記録は、査定を頼む前に探しておいてください。

まとめ

まとめ

底地を買取業者に売るときの考え方と手順を、順に整理しておきますね。

  1. 業者が買っているのは、地代を受け取る立場と、借地人と権利をまとめ直す機会。査定はその出口の見込みから逆算される
  2. 借地人への売却・同時売却・等価交換より安くなりやすいのは、交渉の時間と不確かさを業者が引き受けるから
  3. 査定を動かすのは、借地人の人数・地代と入金・契約書と種類・建物の古さ・地域の慣行の5つ
  4. 借地人が多い、話が止まっている、共有になる、申告期限までに現金が要る、の4つの場面では業者買取が現実的
  5. 生前に売るなら、底地の相続税評価額と提示額を並べてから決める
  6. 業者には、借地人ごとの一覧表・契約書・地代の入金記録・預かり金の記録を渡す
  7. 売った後は、登記で地主の立場が移り、借地人への連絡と日割り精算が要る
  8. 契約書には、敷金・保証金、滞納地代、話の途中の承諾の扱いを書く

底地に限らず、権利の絡む物件全体の売り先を知りたい方は、訳あり物件の売却は「訳」の中身で売り先が決まるを先にお読みいただくと、全体の中での位置づけがつかめるはずです。

業者に売るかどうかは、ほかの売り方で手元に残る額と並べてから決めても遅くありません。うちでは、底地の状況をうかがったうえで、無料査定と売り方ごとの見通しをお伝えしています。お問い合わせからどうぞ。

よくある質問

よくある質問

質問1|底地を買取業者に売るのに、借地人の承諾は要りますか

要りません。民法605条の3は、賃貸人の地位は借地人の承諾を要しないで、売主と買主の合意で移せると定めています。ただし、業者が借地人に地主として地代を求めるには、所有権移転の登記が必要です。借地人を戸惑わせないよう、売った後は連名で知らせる書面を出してください。

質問2|底地買取の相場は、更地価格の何割くらいですか

出所を示せる公的な相場の割合はありません。底地買取の金額は業者の査定で決まり、借地人の人数、地代と入金、契約書の有無、建物の古さ、地域の借地権割合で上下します。国税庁の評価の算式は相続税を計算するためのものなので、同じ資料を2社以上に渡して、査定の根拠を聞き比べるのが確実です。

質問3|借地人から預かっている保証金は、売った後どうなりますか

地代などを担保する目的で預かったお金なら、名目が保証金でも民法上の敷金に当たります。底地が売られると、その返還義務は買主である業者に引き継がれます(民法605条の2第4項)。代金から差し引くか別に精算するかを契約書で決めておくと、後から精算でもめずに済みますよ。

出典

個別の税額の計算、登記の手続き、借地人との争いに関する判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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高槻 翔太
元・土地活用コンサルタント。宅地建物取引士(試験合格) ・FP2級保有 。 2016年より、大手不動産・建築会社で、土地有効活用のコンサルティング営業を6年間しており、地主様の資産運用・相続税対策を支援 。 現在は不動産特化の専門家として、SUUMOや朝日新聞社「相続会議」など大手メディアを中心に累計1,500記事以上を執筆・監修 。 現場で見てきた「放置空き家の悲劇」や「兄弟間の相続トラブル」を防ぐため、綺麗事抜きで「1円でも多くお金を残し、ご縁を守る」ための本音のノウハウを発信中。 >> 詳しいプロフィールと当サイトの理念はこちら